不倫の慰謝料請求は「3年以内」と考えていても早く動くべき理由|証拠を取って安心しないために

「不倫の慰謝料請求は3年以内」と聞くと、証拠を取ったあと、少し時間を置いてから動けばいいと考えてしまう方もいます。たしかに、不倫・不貞行為の慰謝料請求には時効があります。民法では、不法行為による損害賠償請求権について、原則として「損害及び加害者を知った時から3年間」行使しないとき、または「不法行為の時から20年間」行使しないときは、時効によって消滅すると定められています。
ただし、ここで大切なのは、「3年あるから、しばらく何もしなくて大丈夫」という意味ではないということです。不倫の証拠を取っても、その後に慰謝料請求へ進まなければ、問題が解決したわけではありません。この記事では、不倫の証拠を取った後、なぜ早めに慰謝料請求まで進めた方がよいのかを解説します。
不倫の慰謝料請求は、証拠を取った後も早く動いた方がいい
不倫の慰謝料請求では、「証拠を取ること」がとても重要です。しかし、証拠を取っただけで安心してしまうのは危険です。証拠は、あくまでも慰謝料請求や話し合い、離婚協議、弁護士相談などに使うためのものです。証拠を取っただけで止まってしまえば、浮気相手に責任を問うこともできず、不倫関係がそのまま続いてしまう可能性もあります。
また、時効の「3年」は、単純に「証拠を取った日から3年」と決まるものではありません。不貞の事実や浮気相手を知った時期、誰に対して請求するのかなどによって、考え方が変わる場合があります。弁護士による解説でも、不倫相手に対する慰謝料請求では、不倫の事実だけでなく、不倫相手を慰謝料請求が可能な程度に特定できた時点が問題になるとされています。
そのため、「証拠を取ったから、あとは3年以内に考えればいい」と単純に考えるのではなく、証拠を取った後こそ、次の行動へ進むことが大切です。
証拠を取ってから慰謝料請求までに時間を空けない方がいい理由
証拠が紛失する可能性がある
不倫の証拠は、いつまでも安全に残っているとは限りません。写真、動画、LINE、メール、SNSのやり取り、位置情報、レシート、ホテルの利用履歴など、不倫の証拠になり得るものはさまざまです。しかし、スマートフォンの故障、機種変更、誤操作による削除、アカウントの削除、トーク履歴の消失などによって、証拠が失われることがあります。
紙のメモや印刷物、手紙、物品なども同じです。保管場所が悪ければ紛失したり、家族に見つかって処分されたり、時間とともに劣化したりする可能性があります。「証拠は取ったから大丈夫」と思っていても、その証拠が、あとから確実に使える状態で残っている保証はありません。証拠は、取った後にきちんと整理し、必要な場面で使える状態にしておくことが大切です。
証拠の存在が配偶者に知られるリスクがある
証拠や調査報告書を長期間持ち続けることには、もう一つ大きなリスクがあります。それは、配偶者に証拠の存在を知られてしまうことです。たとえば、スマホやパソコンに保存していた写真、探偵社からの調査報告書、弁護士相談のメモ、印刷した資料などを見られてしまうことがあります。証拠を持っていることは安心材料になりますが、長く保存しておくと、発覚のリスクも高まります。
法的手続きには準備時間が必要
慰謝料請求は、証拠があればすぐに終わるものではありません。証拠を取った後には、まず自分がどうしたいのかを考える必要があります。
- 離婚するのか。
- 離婚せずに慰謝料請求するのか。
- 配偶者に請求するのか。
- 浮気相手に請求するのか。
- まずは示談を目指すのか。
- 弁護士に依頼するのか。
このような方針を決めるには、時間がかかります。また、弁護士に相談する場合でも、証拠の内容を確認し、相手方の情報を整理し、請求方法を検討し、必要に応じて書面を作成する時間が必要です。
時効が近づいてから慌てて動くと、冷静な判断ができなくなります。選択肢が少なくなり、「もっと早く動いていれば」と後悔することにもなりかねません。慰謝料請求を考えるなら、証拠を取るだけでなく、その証拠をどう使うかまで見据えて準備することが大切です。
浮気相手の住所や生活状況が変わることがある
浮気相手の名前や住所が分かっていたとしても、その情報がいつまでも有効とは限りません。時間が経てば、浮気相手が引越しをすることがあります。転勤、退職、結婚による姓の変更、連絡先の変更、SNSアカウントの削除などによって、相手の所在確認が難しくなることもあります。
慰謝料請求をする際には、相手に通知を送る必要が出てくることがあります。その段階で住所が古くなっていれば、再調査が必要になる場合もあります。
また、極端なケースではありますが、浮気相手が病気や事故などにより、交渉や請求が困難になる可能性もゼロではありません。一度分かった情報でも、時間が経てば変わります。だからこそ、相手の情報が新しいうちに、次の行動へ移ることが重要です。
慰謝料請求しないままだと、不倫関係が続く可能性がある
不倫の証拠を取ったとしても、その後に何もしなければ、不倫関係がそのまま続いてしまう可能性があります。配偶者にだけ話をしても、浮気相手側が何の責任も感じていなければ、水面下で関係を続けることがあります。浮気相手が「結局、自分には何も請求されなかった」と受け止めれば、不倫をやめるきっかけにならないこともあります。
慰謝料請求は、単にお金を請求するだけではありません。浮気相手に対して、不倫によって他人の家庭を傷つけた責任を明確にする意味もあります。もちろん、慰謝料請求をしたからといって、必ず不倫が終わるとは限りません。しかし、何もしないまま放置すれば、不倫関係が続くリスクは残ります。「証拠は取ったから、あとは様子を見る」という状態が長く続くほど、配偶者と浮気相手に時間を与えてしまうことにもなります。
不倫が続くと、何度も証拠を取り直すことになる
不倫関係が終わらない場合、証拠収集が一度で終わらなくなることがあります。最初に証拠を取っても、その後も会っていることが分かれば、「今も関係が続いているのか」を確認したくなります。
発覚後も不倫を続けているのであれば、その事実自体が悪質性を示す事情になる可能性もあります。不倫関係の継続は、慰謝料額の算定において増額方向に働く事情として解説されることがあります。そのため、不倫が続いていると分かるたびに、追加の証拠を取りたくなることがあります。しかし、それではいつまで経っても終わりません。
- 「また会っているかもしれない」
- 「もう一度証拠を取れば、もっと有利になるかもしれない」
- 「さらに慰謝料額を上げられるかもしれない」
このように考え続けると、証拠を取っては悩み、また疑い、また証拠を取るという、いたちごっこのような状態になってしまうことがあります。大切なのは、証拠を増やし続けることだけではありません。必要な証拠を押さえたら、それを使って慰謝料請求や話し合いに進むことです。証拠を取っただけで止まってしまうと、問題の解決が先延ばしになります。
浮気相手が散財して、慰謝料を支払えなくなる可能性がある
慰謝料請求では、「請求できること」と「実際に支払ってもらえること」は別問題です。浮気相手に慰謝料を請求できる可能性があったとしても、相手に支払い能力がなければ、現実には回収が難しくなることがあります。
時間が経つ間に、浮気相手が貯金を使ってしまうこともあります。借金を増やすこともあります。転職や退職によって収入が下がることもあります。生活費や遊興費で散財してしまい、いざ慰謝料請求をしたときには、まとまったお金を払えない状態になっている可能性もあります。
その場合、請求自体はできても、一括で支払えない、分割払いになる、支払いが滞るといった問題が起こることがあります。慰謝料請求を考えるなら、相手に支払い能力があるうちに動くという視点も大切です。「いつか請求すればいい」と考えているうちに、相手の経済状況が悪くなってしまえば、実際の回収は難しくなります。
他の慰謝料請求が先に進むと、回収が難しくなることがある
不倫問題では、自分が把握している関係だけがすべてとは限りません。たとえば、浮気相手がこちらの配偶者以外にも、複数の既婚者と不倫している場合があります。その場合、別の配偶者が先に不倫に気づき、浮気相手に慰謝料請求をする可能性があります。
浮気相手が先に別の人へ慰謝料を支払ってしまえば、後からこちらが請求する段階では、すでにお金が残っていないことも考えられます。また、W不倫の場合には、浮気相手の配偶者が先に動くこともあります。
相手方の配偶者が先に探偵を使い、証拠を取り、こちらの配偶者に慰謝料請求をすることもあります。そうなると、自分が後から慰謝料請求をしようとしたときには、配偶者や浮気相手の支払い能力が下がっている可能性があります。
さらに、浮気相手が独身で、こちらの配偶者が独身だと偽って交際していた場合には、浮気相手側が「自分も騙された」と主張し、貞操権侵害などを理由に慰謝料請求をするケースも考えられます。
不倫は、自分たち夫婦だけの問題に見えても、相手側の生活状況、他の交際関係、別の慰謝料請求によって、状況が大きく変わることがあります。だからこそ、後回しにしすぎるのは危険です。

まとめ|ゆっくりするのは、やるべきことを進めた後でいい
不倫の慰謝料請求には時効があります。「3年あるから大丈夫」と考えて、証拠を取った後に長く放置してしまうのは危険です。不倫問題では、時間が解決してくれるとは限りません。
証拠を取って安心するのではなく、できる限り慰謝料請求まで走りきることが大切です。もちろん、心が疲れているときに、すぐにすべてを決めるのは簡単ではありません。それでも、証拠を取っただけで止まってしまうと、問題は終わりません。どの道を選ぶとしても、まずは自分が不利にならない状態を作ることが大切です。
ゆっくり休むのは、必要な証拠を押さえ、請求に向けた準備を整え、やるべきことを進めた後でも遅くありません。みらい探偵社®︎では、不倫・浮気調査の証拠収集だけでなく、調査後にどのように動くべきかについても、ご状況に応じてご案内しています。必要に応じて、弁護士のご紹介も可能です。
不倫の証拠は、取って終わりではありません。その証拠を使って、きちんと次の一歩へ進むことが大切です。「まだ3年ある」と考えて後回しにするのではなく、後悔しないためにも、早めに証拠を押さえ、慰謝料請求まで見据えて行動することをおすすめします。
*本記事は、不倫・不貞行為に関する一般的な情報をもとに作成したものであり、個別の事案における法的判断を保証するものではありません。実際に慰謝料請求や法的手続きを検討される場合は、必ず弁護士などの専門家にご相談ください。

