不倫された妻／夫が余計に孤独を感じる理由：何も悪くないのに、誰も理解してくれない現実

不倫の事実を知った瞬間、心は大きく揺らぎます。怒り、悲しみ、裏切られた喪失感…そのどれもが一度に押し寄せ、呼吸をするのも苦しくなるほどの痛みを感じる人も少なくありません。
それでも、時間が経つうちに「少し落ち着いた」と思える日がやってきます。けれど、そこから始まるのが「孤独」との戦いです。

裏切りのあとに訪れる「静かな孤独」

不倫の発覚は、ただの裏切りではありません。信じていた相手に嘘をつかれ、愛情を踏みにじられるという経験は、人生の中でも最も大きな心の傷を残します。最初のうちは、怒りや悲しみ、混乱が入り混じり、自分の感情すら整理できない状態になります。しかし、時間が経って少し落ち着きを取り戻したように感じた頃、ふと押し寄せてくるのが「孤独」です。

不倫された妻／夫は多くの場合、「どうしてこんなことに」と自分の存在意義を見失います。信頼していた人からの裏切りは、自尊心を大きく傷つけ、「私が悪かったのではないか」「もっと努力していれば違っていたのではないか」と自分を責めてしまうことも少なくありません。実際には、原因を一人で背負う必要はないのに、誰にも頼れず、心の中で静かに孤立していくのです。

友人に相談しても、共感されない現実

不倫の苦しみは、誰かに聞いてもらいたいという気持ちに自然につながります。最初は親しい友人に打ち明け、話を聞いてもらう人も多いでしょう。友人たちは、「そんな人、もう別れたほうがいい」「新しい人生を歩んだ方がいい」と励ましの言葉をかけてくれます。しかし、当事者にとっては、その言葉が必ずしも支えにはなりません。夫婦関係の継続を迷っている時期には、現実的なアドバイスよりも、まず“気持ちをわかってほしい”という思いが強いからです。

また、一般の人にとって「落ち込んでいる話を長期間聞き続けること」は、想像以上に負担になります。悪気はなくても、何度も同じ話を聞くうちに「またその話？」「もう前を向いたらいいのに」と思ってしまうこともあります。友人の立場からすれば、助けてあげたいのに、どう支えたらいいかわからないのです。こうして少しずつ距離が生まれ、気づけば「もう話せる人がいない」という状況に陥ってしまう。これが、配偶者からの裏切りに続く“二重の孤独”です。

家族に相談しても、心が軽くならない理由

親や兄弟に相談すると、「そんな人とは早く離れなさい」「子どものために我慢しなさい」といった意見が返ってくることがあります。どちらも“あなたを思って”の言葉ですが、どちらを選んでも傷つくのが現実です。「我慢してもつらい、離れてもつらい」…その板挟みの中で、心はどんどん疲弊していきます。

家族もまた、あなたの気持ちを完全に理解することはできません。なぜなら、彼らは「娘」「姉妹」としてあなたを見ており、“妻／夫としての苦しみ”を同じ立場で体験していないからです。そのため、心配してくれているのに、どこか噛み合わない。結果として「結局、誰も私の気持ちをわかってくれない」という思いが強まり、ますます孤立してしまうのです。

子どもがいる母親／父親が、より深い孤独を感じる理由

特に子どもがいる妻／夫の場合、孤独はさらに深刻です。
親であるというだけで、「泣いていられない」「しっかりしなければ」という使命感に縛られます。子どもの前では笑顔を見せ、家事をし、学校行事にも参加する。表向きは何事もなかったように振る舞う一方で、心の中では崩れ落ちそうな気持ちを抱えています。

本当は誰かに「つらい」と言いたいのに、子どもの前では弱音を吐けない。夜中、子どもが寝静まった後に一人で涙を流す…そんな日々が続くうちに、「落ち込むことさえ許されない」現実が重くのしかかります。笑顔を作るたびに、「この笑顔は本当の自分ではない」と感じ、孤独が一層深まるのです。

「理解してほしい」と「解決したい」のすれ違い

孤独が深まる背景には、「理解してほしい」と「解決したい」というすれ違いがあります。相談を受ける側は「どうすれば解決できるか」を考えますが、不倫された側が本当に求めているのは、「ただ気持ちをわかってほしい」「味方でいてほしい」という共感です。

しかし、周囲の人は善意から「前を向いて」「いつまでも落ち込んでいても仕方ない」と声をかけてしまいます。その言葉に悪意はありませんが、当事者にとっては“置き去りにされたような感覚”を生むこともあります。理解されたい気持ちと、現実的なアドバイスとの間に生まれる溝が埋まらないまま時間が過ぎると、心の疲労が蓄積し、感情の出口を失ってしまうのです。