鬱病で休職中の配偶者が浮気していたら|病気だからと我慢し続けなくてよい理由

うつ病や適応障害で休職中に浮気する人もいますが、病気と不貞行為は別問題です。まず浮気の事実と証拠を確認し、離婚や慰謝料請求を含めて今後を考えましょう。
夫や妻が鬱病(うつ病)などで休職すると、家族の生活も大きく変わります。仕事に行けないほどつらいのだから、今はゆっくり休んでほしい。収入が減っても、家事や育児の負担が増えても、元気になるまでは自分が支えよう。そう思って生活している方も多いと思います。
ところが、その休職中に配偶者が浮気をしていたとしたら、話はまったく変わってきます。病気で仕事もできないと思っていたから、自分が生活を支えてきた。それなのに、その裏で別の異性に気持ちを向け、連絡を取り、会い、不倫をしていた。
「病気で仕事もできないと言っているのに、浮気するってどういうこと?」
腹が立つのは、外出できるほど元気だったことだけではありません。家族に支えてもらわなければ生活できない状況で、なぜ浮気をしようという気持ちになるのか。ですがこれは、意外にも少ない事例ではないのです。
仕事もできないのに、なぜ浮気できるのか
「仕事にも行けないほどつらいと言っていたのに、浮気するってどういうこと?」
まさか、休職中の配偶者が浮気するなんて。病気で仕事ができないから、自分が生活を支えてきた。家事や育児を多く引き受け、無理をさせないように気を遣い、復職を急かさずに待っていた。それなのに、本人は別の異性に気持ちを向け、浮気関係を持っていた…。休職中に不倫をしているケースでは、本人の心理状態として、どのようなことが起こっているのでしょうか。
自己肯定感の低下|誰かに求められることで自信を取り戻そうとする
うつ病になると、自分を責める気持ちが強くなったり、「自分には価値がない」と感じたりすることがあります。仕事に行けない、家族に負担をかけている、以前のように働けない。そうした状態が続くことで、自信を失っていきます。
そこへ、自分を肯定してくれる異性が現れることがあります。「あなたは悪くない」「つらかったね」「自分はあなたのことを分かっている」と言われることで、自分を認めてもらえたように感じます。
自分を必要としてくれる、好意を向けてくれる相手がいることで、自分の価値を取り戻したように感じ、その相手との関係にのめり込んでいくことがあります。
孤独感|自分を理解してくれる相手を求める
休職すると職場とのつながりが減り、人と接する機会も少なくなります。一方で、自分を支えてくれている妻や夫には、申し訳なさや負い目があり、本音を話しにくくなることもあります。
そのような孤独感の中で、家庭の外に「自分を理解してくれる人」を求めることがあります。最初は単なる相談相手だったとしても、頻繁に連絡を取り、悩みや不満を話しているうちに心理的な距離が近くなり、そのまま不倫関係へ進んでしまうケースも少なくありません。
本人の中では、「相談に乗ってもらっているだけ」「この人だけが自分を分かってくれる」と考え、異性との距離が近づいていることを深く考えないまま、その関係を続けてしまうこともあります。
判断力の低下|浮気に踏みとどまれなくなる
うつ病では、集中力や思考力だけでなく、物事を決める力も低下することがあります。
普段であれば、「ここから先に進めば浮気になる」「配偶者を裏切ることになる」「家庭を壊すかもしれない」と考えて踏みとどまれる人でも、その先まで冷静に考えられなくなることがあります。
「少し会うだけならいい」「相談に乗ってもらっているだけ」「今の自分にはこの人が必要だ」と考えているうちに境界線が曖昧になり、そのまま不倫関係に進んでしまうこともあります。
非現実への逃避|現実を忘れられる相手にのめり込む
休職中は、仕事に戻れるのか、これからどうなるのか、家族に迷惑をかけているのではないかなど、さまざまな不安を抱えて生活することになります。
浮気相手と会っている時間だけは、その現実から離れることができる。家庭では「病気で休職している自分」「家族に支えてもらっている自分」であっても、浮気相手の前では一人の男性、一人の女性として扱われる。その感覚が心地よくなり、浮気相手との時間にのめり込んでいくことがあります。
自己肯定感の低下、孤独感、判断力の低下、非現実への逃避。こうした心理状態が重なることで、普段であれば踏みとどまる人が、休職中に不倫へ向かってしまうことがあります。
ただし、これは「なぜ浮気に向かったのか」という背景の話です。理由が分かったからといって、浮気そのものが許されるわけではありません。
休職中は、そもそも普通に外出できるのか
ここでもう一つ疑問になるのが、「仕事を休むほど具合が悪いのに、普通に出かけたり、浮気相手と会ったりできるものなのか」ということです。休職しているからといって、必ず一日中寝たきりで、何もできない状態とは限りません。うつ病の症状や程度には差があり、一日の中でも状態が変わることがあります。
うつ病でも外出したり、人と会ったりすることはある
うつ病では、気分の落ち込みや意欲の低下だけではなく、自分には価値がないと感じる、集中できない、物事を決められない、眠れない、または寝すぎるなど、さまざまな症状が現れます。
仕事をするには、決まった時間に起き、通勤し、何時間も一定の集中力を保ちながら業務を続ける必要があります。それが難しい状態でも、自分の体調に合わせて買い物へ行ったり、人と会ったりすることはあります。そのため、休職中に外出していること自体は珍しいことではありません。
休職の理由はうつ病ではなく適応障害の場合
メンタルヘルスの不調で休職している場合、診断名がうつ病とは限りません。適応障害で休職しているケースもあります。適応障害では、職場の人間関係や仕事内容、配置転換など、本人にとって強いストレスとなる原因が比較的はっきりしています。そのストレスとなっている環境から離れることで症状が軽くなることがあります。
そのため、「会社には行けないと言っていたのに、休職したら普通に出かけている」「家では思ったより元気そうにしている」「趣味や買い物には行ける」という状態になることもあります。配偶者から見れば、「仕事には行けないのに、こんなに普通に生活できるの?」と不思議に感じるかもしれません。しかし、休職後に元気そうに見えること自体は、病気と矛盾するものではありません。
そして、浮気を疑っている場合に重要なのは、本当の診断名を突き止めることではありません。その時間に実際に何をしているのかです。
休職中の自由時間が、浮気のきっかけになることも
休職すると、それまで勤務していた平日の日中に時間ができることがあります。一方、もう一方の配偶者はこれまで通り仕事へ行っています。休職によって世帯収入が減っていれば、家計を支えるため、支える側が以前より多く働かなければならないこともあります。つまり、休職した側には自由になる時間が増え、支えている側は以前より忙しくなるという状況が生まれることがあります。
家族は「家で療養している」と思っている。その時間に、浮気相手と会っているケースもあります。実際の浮気調査でも、配偶者が仕事に出ている平日の日中に浮気相手と会うことがあります。勤務していた頃には会えなかった時間帯に自由に動けるようになり、浮気相手と会う頻度が増えることもあります。
また、休職後にLINEやSNSのやり取りが増えた、一人で外出することが増えた、行き先を詳しく話さなくなった、特定の曜日や時間帯だけ出かけるようになったなど、行動の変化から浮気が分かることもあります。
休職そのものが浮気をさせるわけではありません。しかし、仕事に使っていた時間が空いたことで、すでに始まっていた関係が深まったり、新しく知り合った相手と会いやすくなったりすることはあります。
支える側の配偶者は、すでに大きな負担を背負っている
休職している配偶者を支える側には、大きな負担がかかります。収入が減った分を補うために働く。家事や育児を多く引き受ける。相手の体調を気遣い、できるだけ負担をかけないようにする。「今は病気なのだから」と、自分が我慢してきたこともあるでしょう。
その間に、配偶者が不倫相手と会っていた。自分が生活費を稼いでいる時間にデートをしていた。自分が家事や育児をしている間に、別の相手と連絡を取り合っていた。自分には「今日は体調が悪い」と言いながら、不倫相手とは会っていた。それを知れば、単に「浮気された」というだけでは済みません。
「私は何のためにここまで支えてきたの?」
「病気だから仕方ないと思って、どれだけ我慢してきたと思っているの?」
病気になったことに腹を立てているのではありません。病気だからこそ支えてきたのに、その信頼を裏切られたことが許せないのです。
病気だからといって、浮気まで我慢する必要はない
配偶者がうつ病などで休職していると、浮気が分かったあとも「病気なのだから責めない方がいいのではないか」「強く言ったら悪化するのではないか」と考えてしまう方がいます。
しかし、病気を支えることと、不貞行為を受け入れることは別です。自己肯定感が低下していた。孤独だった。判断力が低下していた。現実から逃げたかった。そのような背景があったとしても、配偶者が浮気を我慢しなければならない理由にはなりません。
病気だから仕事ができないことと、配偶者以外の相手と関係を持ったことも、分けて考える必要があります。「病気なのだから仕方がない」と、不貞までなかったことにする必要はありません。
休職中でも、離婚や慰謝料請求を視野に入れても良い
浮気が分かったあと、「相手は病気なのだから離婚を考えてはいけないのではないか」「休職中の人に慰謝料を請求してもいいのだろうか」と迷う方もいます。しかし、うつ病などで休職していることと、不貞行為について責任を問うことは別です。
不貞行為があれば、離婚を検討できる
民法では、配偶者に不貞な行為があったことは、裁判上の離婚原因の一つとして定められています。配偶者が休職しているからといって、不貞行為がなかったことになるわけではありません。もちろん、実際に離婚するかどうかは、子どものこと、生活費、住居、財産なども含めて考える必要があります。しかし、「病気なのだから離婚を考えてはいけない」と、最初から選択肢を外す必要はありません。
参考記事:「浮気の証拠」で未来は変わる:後悔しない離婚・交渉のために
休職中でも慰謝料請求を検討できる
不貞行為があれば、配偶者や浮気相手に対する慰謝料請求を検討することもできます。うつ病などの診断を受けていることや、休職していることだけを理由に、不貞行為についての責任が当然になくなるわけではありません。「仕事をしていないから責任も取れない」「病気だから慰謝料を請求してはいけない」と、最初から考える必要はありません。
参考記事:浮気相手への慰謝料請求は自分でできる|直接会って示談する手順を実例から解説
診断名ではなく、まず浮気の事実を確認する
休職中なのに普通に外出している姿を見れば、「本当にうつ病なのか」「本当は働けるのではないか」と疑いたくなることもあると思います。しかし、浮気について今後どうするかを考えるのであれば、診断名を調べることが目的ではありません。
確認したいのは、配偶者が誰と会い、どこへ行き、実際にどのような関係を持っているのかです。特定の相手と継続的に会っているのか。どのくらいの頻度なのか。ホテルや相手の自宅へ出入りしているのか。不貞関係を裏付ける行動があるのか。
離婚や慰謝料請求まで考えるのであれば、単に異性とLINEをしている、食事をしているというだけではなく、浮気相手との関係を客観的に確認できる証拠を残しておくことが重要です。本人を問い詰めてしまえば、浮気を否定したり、相手との連絡方法を変えたり、警戒して行動を隠したりすることもあります。まず事実を確認し、その結果を見てから今後について考えることもできます。
参考記事:浮気・不倫の証拠写真とは?「肉体関係が持てる状況」を示す調査報告書の条件

よくある質問
- うつ病で休職中でも、普通に外出することはありますか?
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あります。うつ病では症状の程度や現れ方に差があり、一日の中でも状態が変わることがあります。仕事を継続することは難しくても、自分の体調に合わせて買い物をしたり、外出したり、人と会ったりできることはあります。
- 適応障害で休職すると、元気そうに見えることはありますか?
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あります。適応障害では、職場などストレスの原因となっている環境から離れることで症状が軽くなることがあります。そのため、仕事には行けなくても、休職後は家で普通に過ごしたり、外出したりできる場合があります。
- 休職中の配偶者が浮気していた場合、離婚や慰謝料請求はできますか?
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休職していることを理由に、離婚や慰謝料請求を検討できなくなるわけではありません。不貞行為があれば、離婚や慰謝料請求を検討することができます。実際に進める場合には、不貞を裏付ける証拠を確認したうえで、弁護士へ相談するとよいでしょう。
まとめ:病気は支えても、浮気は論外
うつ病などで休職している配偶者を支えるために、生活費、家事、育児など多くの負担を背負っている方もいます。「仕事にも行けないほどつらいのだから、今は自分が支えよう」と思ってきた。その間に浮気をしていたと分かれば、「そんな状況で、なぜ浮気しようと思ったの?」と怒りを感じるのは当然です。
病気は支えても、浮気は論外です。
病気だから支えようと思ったことと、不貞まで受け入れることは同じではありません。休職中だからといって、離婚や慰謝料請求を最初から諦める必要もありません。まずは、配偶者が誰と会い、どのような関係を持っているのかを確認すること。その事実をもとに、今後の夫婦関係をどうするのかを考えていくことが大切です。
参考:
厚生労働省「こころの耳:ご存知ですか?うつ病」
厚生労働省「こころの耳:適応障害」

